眞蔵修平
パワハラに対して組織で出来ること、個人で出来ること。
私自身、新卒の23歳から33歳まで、転職する先々で、さまざまな組織でパワハラを受けてきました。そのため、ハラスメントを世の中から撲滅したいと心から願っています。今回は、組織としてできるハラスメント対策を真剣に考えてみたので、少々長い文章になりますが、最後までお読みいただけると幸いです。
ハラスメントには二種類ある
まず、私はハラスメントには大きく分けて二種類あると思っています。
①加害者側にハラスメントをしている自覚がないもの
②ハラスメントであることは自覚しているが、自制できないもの
これまでの一般的なハラスメント対策は、「ハラスメントはいけません」といった研修を行い、何がハラスメントになるのかを明示していくだけのものでしたが、これは、①のハラスメントをしてる自覚がない人にしか刺さりません。「なるほど、これはハラスメントになるのか。気をつけよう。」とか「自分の時代とは違ってきてるんだな。」と気付かせるには一定の効果があります。
しかし、中には②のように、自分がハラスメントをしてる自覚があるにもかかわらず、感情を抑えられない人が一定数存在します。彼らは、自分がハラスメントをしている自覚があるので、世間が厳しくなればなるほど、自分のハラスメントを隠そうとします。つまり、自分の部下たちに「ハラスメントをしていることは口外するな!」というハラスメント繰り返すようになり、ハラスメントそのものが外部から見えなくなる傾向にあります。一昔前の中小企業に「SNSの禁止」が、暗黙の規則として存在しましたが、それもそのためかもしれません(今もあったりするのかな?)。
今回のハラスメント対策は②のほうに絞って考えてみました。組織として、どう対応するのが効果的でしょうか。
その前に、「ハラスメントであることは自覚しているが、自制できない人」がどういう人かを知る必要がありそうです。
以下の内容は、私が教員免許更新研修で受けた心療内科医による講義内容をもとに、約10年間ハラスメントを受けてきた私の経験を分析したものです。
私が受けた研修によれば、クレーマーや、モンスターペアレント、DV、パワーハラスメント、いじめをする人たちは、境界性パーソナリティ障害であると理解しようというものでした。これらは全て、別々の問題ではなく、1つの精神疾患の問題として扱うという考え方です。
境界性パーソナリティ障害とは
不安定な自己 - 他者のイメージを持ち、感情・思考の制御不全、衝動的な自己破壊行為などを特徴とする障害(wikipediaより引用)。
50人に1人の割合(うつ病よりはるかに多い)で発症する精神疾患です。幼少期の家庭環境が原因であると考えられていますが、加齢により、その特徴が和らいでいくこともあるようです。
・自分でも制御出来ない衝動性
普通の人が10で怒るようなことでも120ぐらいで怒ります。異常なまでの叱責、場合によっては物を壊したり、暴力を振るったりします。
・異常なまでの疑り深さ
彼らは人の優しさや忠誠心を疑い、自分に優しくしてくれた人を、少し攻撃するなどして、試す傾向があります。それさえも受け止めてくれたら真実の優しさ、受け止めてもらえなかったら偽善だったと判断します。しかし、仮に受け止めたとしても、いつしかそれさえも疑うようになり、前回より少し強めの攻撃をし、それを繰り返します。この「優しさ確認」は永遠にエスカレートしていき、パワハラやDVに発展します。
・過度なコンプレックス
彼らの自己肯定感は極めて低く、過度なコンプレックスから、自分が持ってないものを持っている人を、引きずり降ろそうとする傾向があります。パートナーの出世を喜べなかったり、親友の陰口を言ったりします。
・虚言癖
自分の立場の優位性を示すためには、情報のニュアンスを変えたり、デマや嘘も厭いません。一度対立すれば、自分を守るために、相手を引きずり降ろすような言動がしばしば見られます。職場やSNS上で、ありもしない話を拡散させ、コミュニティから排除したり、孤立させたりします。しかもこれらは「優しさが嘘であった」という本人の思い込みだけから発展することが多いので、被害者からすれば、全く身に覚えがないことだったりします。
・権威主義
目上の人には媚を売り、そうではない人には、自分を特別扱いすることを求めます。そして、自分以外の誰かを特別扱いする人を許せません。
・見捨てられ不安
人から見捨てられることに、異常なほどに恐怖します。人を疑ったり、試したりするのは、その反動によるもの。また、DVの後、激しい後悔に苛まれ、涙ながらにパートナーに謝罪するのはこのためです。
・「事情説明」を「言い訳」と解釈する。
「事情を説明しろ」と言われるので、説明すると、「言い訳するな」と言われます。本人に事情説明と言い訳の境界がなく、事情を聴くのは相手を攻撃するために他なりません。
・学歴や知能とは無関係
精神疾患なので、学歴や頭の良さ等は関係なく発症します。
個人としての対応
では、彼らにターゲットにされてしまった場合はどうすればいいのでしょうか。
基本的には距離をおくのが賢明です。彼らを正面から相手にすると、自尊心も、交友関係も、大切なものは何もかも奪われるので、いいことは何もありません。恋人がこのタイプであれば、さっさと別れたほうがいい